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創業融資専門家コラム

2020.01.14
【コラム】確定申告は必要?

皆様、新年あけましておめでとうございます。

本年も杉田会計事務所をよろしくお願いいたします。

 

前回のコラムから随分時間が経ってしまいましたが、今回のコラムは確定申告について語ってみたいと思います。

普段あまり税金に関心の無い方でも、会計事務所といえば確定申告というイメージがあるかと思います。

で、この確定申告という言葉を大半の方が個人の確定申告について使っておられるようです。

 

ここで少々説明させていただきますと、確定申告については個人と法人の確定申告があります。

個人の確定申告はその年度の分を翌年2月16日から3月15日までに、法人の場合は自ら定めた決算日より2か月以内に申告することになっております。

ですから、会計事務所は個人のお客様の場合どんなに件数が多くても、その期限内に申告しないといけないのでその期間はそれこそ休む間も無いくらい働きます。今でこそ働き方改革なんて言葉があるので、あまり長時間労働はできませんが、昔はやれ徹夜だの事務所に泊まり込んだだのという話をよく聞きました。

今の言葉で言えばブラック企業ですよね。

会計事務所でも人材不足である昨今、そんな旧態依然な労働環境では従業員の確保もままならないので、現在では随分改善がなされてきているようです。

 

ここまで読まれた方で疑問に思われた方もいるかと思います。

「あれ、自分は今まで何年も働いてきたけど確定申告なんて一度もしたことがないぞ」と。

それは働くことによっていただいたお金が雇用関係に基づく労働の対価であり、そのお金は税法上給与所得というものなります。この給与所得については基本的に自分で確定申告をする代わりに、雇用主が年末調整という作業を行いますので、この年末調整によって課税手続きが完了するため確定申告をする必要がないわけです。

もちろん、それ以外に所有する不動産を売却したとか、マイホームをローンで買ったなどで確定申告をする必要がある場合は、例え年末調整が終わっていたとしても改めて確定申告をする必要があります。

「あ~、年末調整ね。聞いたことある。それで確定申告をする必要がなかったんだ」と。

で、私どもが融資をお手伝いさせていただく際に、たまにある事例が、確定申告をすべき方がそれをしていない、いわば課税手続きが完了していない方からの相談があります。

 

その方に、なんで今まで確定申告をしなかったんですかとお話をお伺いいたしますと、大体こういう問答が始まります。

仮にお客様をAさんとしますと、

杉田:なるほど、運転資金のご融資をご希望ですね。事業はいつから始められましたか。

Aさん:2年ほど前からです。業績はまぁまぁなんですが、資金繰りがきびしくて。

杉田:わかりました。では融資を申し込む資料として確定申告書の控えをご用意ください。

Aさん:それが・・・

杉田:どうかされましたか。

Aさん:じつは確定申告はしていないんです。やり方もわからないし面倒くさいじゃないですか。それに税金だって払いたく無いし。第一、今まで一度も税務署から何か言われたこともないですよ。

杉田:いや、税務署が言ってくるこないの問題ではなくて、納税は国民の義務ですよ。それに実際問題として、融資を申し込むにしても確定申告の履歴がないと金融機関は相手にしてくれませんよ。これじゃあ今後Aさんがマイホームを買うにしてもローンも組めないですよ。

Aさん:ふ~ん、確定申告ってそんなに大事なんだ。そりゃ、そうですよね。ちゃんと確定申告をして払うべき税金はしっかり支払うことによって、私の社会的な信用というものが積み重なっていくんですもんね。みんなちゃんとやっておられることだし。いや、たまに税金のことを考えると寝られない夜も実はあったんですよ。わかりました。過去の分までちゃんと申告するんで手伝ってもらえますか。

杉田:もちろんですよ。いっしょにやっていきましょう。

と、こういう風になります。

職業柄いろいろな方を見てきましたが、実際に確定申告と納税はその方の人生に大きく影響してきます。

お金に関する事柄、特に融資を申し込む際には、くどいようですが確定申告と納税をしていないとまず実行は不可能と言っていいでしょう。

 

ここで、去年に世間を騒がせたY本興業のT井という芸人が確定申告を長年してこなかったという問題について、

あれはT井さんが興した会社の確定申告の話で、個人の話とは若干異なりますが本質は同じです。確定申告、納税をすべきものをしてこなかった。

あの会見をテレビで見て率直に思ったのは

「この人、これで何の問題も起こらないと思っていたのかな。」

ということです。

実際の問題、ちゃんとすべきことをしてこなかったせいで無申告や期限後申告の加算税や延滞税なんかの、いわゆる罰金を本来の税金とは別に余計に支払わないといけないし、第一芸能活動を休止するまでになってしまって本人の収入自体がなくなってしまった。

普通、こんなリスク冒します?自分で出来なければ税理士に頼むなりの方法もあったでしょう。

ただし税理士にしたって資料の提示がなければ手の打ちようもありませんが。

その辺のところを本人に聞いてみたい気もしますが、本人曰く

「自分のだらしなさのせいで・・・」みたいなことを言っていましたが。

過去のコラムで立川談志さんの「落語とは人間の業の肯定である。」

と書きましたが、T井さんの話は無理。粋でもなんでもない、カッコ悪い。芸人さんはもっと粋でカッコよくないと。

 

最後に一言締めて終わりにしたいと思います。

誰のためでもない。自分のために確定申告・納税はキチンと行いましょう。

今年もよろしくお願いいたします。

令和2年1月13日

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