本日のコラムは、私の経験から売上というものについて考えたいと思います。
当事務所は平成15年4月に私が35歳のときに開業し、現在に至っております。
開業当初のお客様は0。文字取りゼロからのスタートでした。
今から考えれば無謀というか、若気の至りというか
もっとしっかりと計画を立ててから独立するべきでした。
(その私が、今では独立開業をなさろうとする方の応援・支援をしているのですから人生はわからないものです。)
当時は独立すればなんとかなると思っておりましたから、
自分で貯めた自己資金300万円と日本政策金融公庫さんから500万円を借入してのスタートでした。
当時は今と違って創業時無担保・無保証人制度というものがありませんでしたから、
必ず誰かを連帯保証人として立てないといけない。
私はその保証人に当時まだ結婚前の嫁になってもらいました。
保証人の話をすると一言「ええよ。」で終わり。
その借入については既に完済しておりますが、
右のものとも左のものともわからない男の連帯保証人(しかも500万円!)になるとは。
自分なら同じ決断ができるかどうか自信がありません。
当然のごとく嫁には今でも頭が上がりません。
開業して数ヶ月は良かったんです。なにせ夢いっぱいですから。
やれ備品を買って、事務所のレイアウトはああして、こうしてなどなど。
でも事務所の電話は鳴らない。
その間にも現実問題として当たり前に経費は毎月出て行くわけです。
毎月の事務所の家賃、水道光熱費、通信費、コピー機のリース代、借入金の返済などなど。
郵便物で届くのは請求書ばかり。
それに加えて自分の生活費も出て行くわけですから、預金口座の残高の減っていくスピードの早いこと早いこと。
これはヤバイとなって、自分なりのキャッシュフロー表なんかを作って、
現状のままだとあとどれくらいで資金が底をつくのか計算をする。
で、ビックリ。あと1年ももたない。
開業当初のそんなにも高くない天狗の鼻を根元からボッキリと折られました。
さあ、そこからは人間は目の色が変わる。
なんとか売上(もっといえばキャッシュ・現金)を作らなければとなって、
慣れない異業種交流会に参加して名刺を配ったり、
アルバイトとして税理士試験予備校の非常勤講師を務めたりと、その当時自分に出来ることは何でもやりました。
当時の当面の目標は事務所の売上を年間1千万円に持っていくこと。
これが達成できれば毎月の事務所の経費を払って、借入金の返済をして、
当時まだ娘は生まれておりませんでしたから夫婦2人なんとか食っていけると。
そうこうしているうちにありがたいことにポツポツとお客様が出来てまいりまして、
「あぁ、これで今月は新規の売上がこれだけあったから、
あと何件顧問のお客様がついていただけたらこれくらいの売上になるなぁ。」
と毎月計算しておりました。
事務所の運営は1年目2年目は赤字。3年目にやっと単年度黒字。
5年目でやっと事務所の売上だけでなんとか食っていけるようになりまして(我ながら才覚が無い。)
非常勤の講師も卒業できることとなりました。
それから数年を経て、同業であった義父が亡くなって
事務所を引き継いだりのなんのとあって現在に至るわけですが、
ここ数年は忙しさにかまけて事務所の売上の数字を追うこともしない。
その結果どうなったか、見事に売上の数字は横ばい。
下手をすれば前年を下回る年もでてくる。
これはイカン、他人様に偉そうに言っているくせに自分の経営がこれではお客様に説得力が無さ過ぎる、
となって元号も改まった今年を第二の創業年度と銘打って売上を上げるべく頑張っております。
で、この経験から得た教訓が今日のコラムのお題
「売上は追わないと下がる」 です。
企業(個人事業も含めて)とは生き物ですから成長しないといけない。
企業の成長とは事業体としての規模の拡大となるわけですから、
売上を増やしていかないといけない。
予算としての売上と実績としての売上(売上ばかりが増えて利益が増えないのは困るのですが・・・)を
検証して出来ているのか、出来ていなければなぜ出来なかったのか、
単価?数量?リピート率?何が達成できなかったのか。
で、これを日々改善していくと。
これが出来てこそ企業の健康な成長が見込めるのだと思います。
開業当時のことは今でも思い出すと泣きそうになるんでイヤなんですが、
たった一つだけ良かったことがあります。
それは資金繰りに苦しんだことのある経験。
この話を中小企業の社長なんかに話すと、
「先生でもそんな経験があるの?」とグッと身を前に乗り出して話を聴いてくれます。
これは私の営業トークの大きなネタになりました。
(ずいぶんと高い授業料を支払って得たネタですが・・・)
中小企業の社長はまさに毎日が資金繰りとの戦いです。
誰にも相談できずに一人苦しんでおられる方も多いと思います。
そんな社長に少しでも寄り添いたいと思い、これからも精進してまいります。
もしも同じような悩みをお持ちの方がいらっしゃいましたらお気軽にご連絡ください。