今回のコラムでは、具体的に融資の現場ではどのようなことが行われるのかを見ていきましょう。
参考事例として、つい先日日本政策金融公庫にて融資が実行されたSさんの事例をご紹介したいと思います。
Sさんはフリーランサーとして映像制作を請け負いテレビの制作会社を顧客とされるほか、
最近では若手のアーティストのプロモーションビデオの制作にも注力されておられる方です。
当事務所にご訪問いただいたのは確定申告明けの3月の某日でした。
相談内容としては事業拡大に向けての運転資金と、設備をよりハイスペックなものに買い換えるための設備資金の融資の相談でした。
今まで確定申告もご自分でなされていたようで会計事務所、税理士との面談は初めてとのことでした。
やはり会計事務所というのは堅いというか例えるとお役所的なイメージがあるのか最初は少々緊張しておられました。
(ここで少々本音を申し上げますと面談させていただく側の私も最初は緊張します。
なにせどういう方が来られるのか、どういう相談内容なのかがまったく分からず、
当事務所がどういうお手伝いをできるのかを初回の面談でおおよその判断をしないといけないわけですから。)
面談では、お話を聞かせていただきながらSさんのお人柄であるとか、お仕事の取り組み方、経験年数、その他の事項を確認していきます。
その場で当事務所が心がけているのはお客様に何でも話していただける場の雰囲気を作るということです。
これは当事務所がキャッシュフローコーチ養成塾で「AAP」な場作りがいかに大事ということを教えていただいたからです。
これが出来るか出来ないかによって私たちのような税理士・コンサルタントのような仕事は結果に大きな違いが出ます。
ちなみに「AAP」な場というのは安心・安全・ポジティブな場という意味です。
第1回の面談は約1時間で、融資獲得に向けての方向性や当事務所との契約内容についての説明を行い、
それらに同意をいただき次回以降の打合せの方法や必要書類をお伝えいたしました。
金融機関への融資申請書類の中に事業計画書(これから事業を始める方は創業計画書というものになります。)というものがあります。
この事業計画書というのは事業家の方の経歴や今の経営状態、今後の事業への見通し等を記載する書類なのですが、
Sさんに限らず皆様これにご苦労なされます。何をどう書いていいかわからないと。
事業計画書についてはSさんに限らずお客様皆様に出来る限りご自分で書いていただき、
あとは当事務所でフォローさせていただくようにしております。
Sさんにも、それら以外の書類も含めて作成していただきました。
このときのSさんの返答が早い。当事務所が出させていただいた宿題は翌日か翌々日に帰ってくる感じです。こういうときに
「あ、このお客様は大丈夫だな。融資も軽々にはいえないけれどいけるんじゃないかな。」と思います。
事業計画書については、2回目の面談時にSさんに作っていただいたものをたたき台にしてヒアリングをしながら、
中身をより濃いものに仕上げていきます。
すべての申請書類をそろえて今回は日本政策金融公庫の当事務所の担当者の方へ郵送させていただきました。
後日、担当者様から追加書類のご請求及びSさんと担当者様との面談の日程調整をおこないます。
ごく稀にですが、当事務所が融資申請のすべてを代行するのだから面談は必要ないんじゃないですかと言われるのですが、そうではありません。
融資する側もされる側の人となり等を実際に確認し、判断されます。
面談にあたりSさんは
「ものすごく緊張します。大丈夫でしょうか。」
と不安げにしておられましたが、
「大丈夫です。聞かれたことは正直にお話ください。数字のことなどで答えにくいことは当方でフォローしますから。」
と伝えておきました。
後日、当事務所にてSさんと担当者様との面談が行われました。
面談時間は約1時間でSさんも最初は緊張しておられましたが、担当者様のお人柄もあり、終始和やかな感じで、
でも必要なことはしっかりお答えいただき無事終えることが出来ました。
数日後、担当者様から当事務所にSさんの融資申請が満額実行できる旨のご連絡をいただきました。
早速Sさんにお伝えすると大変喜んでいただきました。
私もお手伝いさせていただいて、結果に結びついて、お客様に喜んでいただけるこの瞬間が大好きです。
融資は無事実行できることとなりましたので、
今後はSさんの経営がよりよくなるような財務や経営に関するアドバイスや指導をおこなわせていただきます。
Sさん、今後とも長いお付き合いよろしくお願いいたします。